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生地のこだわり

伝統の1号前掛け

エニシングでは、日本で最後に残った前掛けの産地・愛知県豊橋市の前掛け織り工場「芳賀織布」より約100年前の「トヨタ製」「スズキ製」「遠州製」のシャトル織機10台を引き継ぎ、最高級 '1号前掛け'、定番’2号’前掛けを織っています。

〜『一号』前掛け、復活ものがたり〜

1960年代の高度成長を経て、1970年代から80年代にかけて、日本のものづくりは大きな転換期を迎えます。
日本の製造工場は「早く」「安く」「大量に」「均一に」の4原則で製造を続けていましたが、その頃から繊維産業をはじめとする様々なものづくり産業が中国など海外へ製造をシフトし、
日本の技術を守り続けることが難しくなっていき、ライフスタイルの変化もあり技術の継承が出来なくなっていきました。

日本の前掛けもそのような大きな歴史の流れから、1980年ごろを境に、次第に変わっていきます。
豊橋の老舗染め屋さんの昔の受注表を見ていると、前掛け生地の呼び方として「1号」→「2号」→「3号」と言う通称があったようで、糸の太さを変えながら数種類の生地の厚さがあったそうです。
そんな中、我々エニシングとしても、前掛けの原点、に戻った'一号前掛け'を作ることで次の新しい未来が見えてくるのでは、との想いが常々ありました。

そこで、愛知・豊橋で我々の師匠である芳賀さんと共に「1970年代に作られていた'1号'の厚い生地、1号の前掛けをもう一度復活させよう」と、試織を繰り返し行い、40年前当時の風合い、厚くてやわらかい生地が完成。2011年10月より正式に販売開始となり、東京、ニューヨークでお披露目となりました。

1号前掛けとは

昭和30年~40年代に作られていた厚みを復活させた、最高級「1号前掛け」 には大きく3つの'特徴'があります。

 
その1:太い糸で、厚く織る

→明治~大正に発明された「シャトル織機」を使い、昔の前掛け本来の厚みをを現代に蘇らせた'1号前掛け'。面の糸番手で言うと「1.5番」の太さの糸を使い織っています。「ぶ厚い」と「柔らかい」という、一見反することを同時に実現しているのも、芳賀氏直伝。厚く、長持ちする生地、それが最大の特徴です。

 
その2:体にフィットする、やわらかい生地

→織物は、縦糸と横糸をどのように打ち込むか、で生地の風合いが大きく変わってきます。一般的な「帆布(はんぷ)」と異なり、糸や、打ち込み方の工夫で、体に自然になじむよう、やわらかい生地になっています。

 
その3:伝統の色、色落ちしない染め

→厚手の生地をやわらかく、色落ちもほとんどなく染める。エニシングの染め生地は、洗濯堅牢度の検査でも高いランクを保っています。染めは主に東京都内で行っています。

その他、エニシング前掛け、の特徴を見て行きます。

特徴その1:糸について

通常アパレル等では使われない、太い番手の糸を使用。
大阪で紡がれた糸が愛知豊橋に運ばれ、約100年前のシャトル織機にかけられます。

特徴その2:織機について

豊橋工場では、トヨタ製(大正3年に豊田佐吉氏によって発明された「N式」織機)、スズキ製(鈴木道雄氏の発明した1920年代の織機)などの「シャトル式力織機」が現在も現役で動いています。日々の気温や湿度を見ながら、手作り感のあるやさしい風合いの独特の生地を毎日製造しています。

特徴その3:織りについて

エニシング製 前掛け'の特徴は、体に巻きつけるため、分厚さのほかに、「横にしなる」「使い込むほどやわらかくなる」ことがあげられます。
また、小さなモーター1つで10台の織機を動かく「集団運転」を行っているため、「省エネルギー工場」として海外でも注目を集めています。

特徴その4:フサ(房)について

一番下についている、フサも昔ながらの前掛けの特徴で、相撲の化粧まわしの流れも汲むのでは、という説や、神社のしめ飾りなども関連、由来がある、との説もあります。

特徴その5:ミミ(耳)について

厚手の生地をやわらかく織る、昔ながらの「シャトル式織機」の特徴でもある、両端のミミ。海外ではセルビッジと呼ばれています。
高速の機械で作られた大量生産の生地とは違う、昔ながらの風合いの良い生地をお楽しみください。

特徴その6:紅白の帯(腰ひも)について

昔から前掛けには「紅白の帯」が付いています。「赤」と言えば「朱色(橙色:だいだいいろ)」を指しますが、昔から神社の鳥居、達磨、赤べこなどと同じく前掛けの腰ひもはこの色が使われてきました。神聖な、という意味と共に、厄除け、商売繁盛、おめでたい、などの願いが込められています。