前掛けの下側に垂れている「ふさ」。
この「ふさ」が何に由来するか、ご存じですか?
実は、この「ふさ」は神社のしめ飾りに由来すると言われています。
神社のしめ飾りは、ワラを束ねた「ふさ」を 垂らしています。
しめ飾りは、神を祭る神聖な場所を他の場所と区別するために縄を張る「しめ縄」のことで、一種の魔除けの役割を果たしてきました。
新年に家の入口に「しめ縄」を飾るのも、悪い気(邪気)が家の中に入らないようにするためです。
しめ飾りの意匠といえる「ふさ」を身に付けるものとしては、相撲で力士が着ける化粧まわしがあります。
元来、相撲は神事で、五穀豊穣を願い、神に奉納したものであったことからも、力士が着ける化粧まわしに「ふさ」が付いているのも合点がいくのではないでしょうか。
前掛けは、「ふさ」だけでなく長い腰ひもにも意味があります。
前掛けの腰ひもが紅白の2色を基本とするのは、紅白でおめでたいことから。さらには、商売繁盛の意も含みます。
紅白といっても、赤ではなく、黄味がかった赤である朱色。
朱色は、魔力に対抗する色とされ、神社の社殿や鳥居に多く用いられているのも、そのためです。
また、朱色は橙(だいだい)色とも言いますよね。
橙は実を落とさずに年を越すことから「代々だいだい」と称し、縁起のよい果実とされました。正月飾りに橙があしらわれているのもそんなゆえんからです。
縁起を担ぎ、魔力や厄災から身を守ることから、前掛けのひもには朱色(橙色)が使われているのです。
ちなみに、現在、エニシングの前掛けは、前掛けの産地である豊橋で製造していますが、腰ひもは福山市神辺町で製造しているものを使用しています。
福山は備後絣、ワーキングウエアの産地として知られる地。豊橋と福山に共通するのは、どちらも綿糸を扱う技術基盤がある点です。
腰ひもも前掛け生地を織るときに使うシャトル織機を使い、製造されます。
綿100%で、しっかり、かつ伸縮性のある織りである点が、豊橋の前掛け生地と共に職人技の感じられる逸品です。